物語の紹介
そして、その三者が出会ったとき、世界は静かに狂いはじめた……



どんどん砂時計の砂は落ちて行く。いまこうしている瞬間にも。このままでは、失われてしまう。
失われる……? いったいなにが……? なにが失われてしまうというんだ? この手をすり抜けて。
かけがえのないもの。遠く駈け去って行き、二度とは戻らない、永遠に……。
キリテは奇妙な焦躁感にとらわれていた。
忘れるな、砂は落ちる。落ちつづける。こうしてるいまも、ゆっくりと……、だが決して休むことなく。さらさらと……、さらさらと。
 そして確かに、砂時計の落とす時は、尽きようとしていた。ふたりの時間は、もうあまり残されていなかった。
オロチが闇の底より現れて、少女を喰らうまで……。
back
next

FLASHプレイヤーをダウンロード